8

9/40

259人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
斜め後ろから横に来た諏訪君は、窓へ向いている私とは逆で、窓に背を預けながら再度こちらを見た。 「幸薄オーラ、ハンパない」 「失礼だよ」 軽く睨みながらもフッと笑った私は、また雨のほうへ視線を戻す。 「この前塾であった模試の結果が、思うような結果じゃなくて……さ」 「模試? 高1だし、そんなん気にしてたら、お前受験生になったときハゲてるぞ」 「やめてよ」 アハハと笑って、諏訪君の腕にグーパンチを入れる。 ただ純粋に成績が悪かったから落ち込んでいるんじゃない。 お母さんに、やっぱり勉強に専念しないと結果が出ない、的なことを言われ、美術部に行っていた私に対して“それみろ”と思われたことが嫌だった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

259人が本棚に入れています
本棚に追加