仮想世界の箱庭へ

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 ケントは容姿のみならず勉強運動ともにずば抜けており、人柄も優しく、さらに二年生にして生徒会長を務める傑物だ。一体俺はどうしてこんなやつと仲良くなったんだっけーーなどと考えつつもセツナはまた口を開く。 「よ、ケント。生徒会の仕事はもういいのか?」 「うん。部活の予算分配とイベントのスケジュール調整、生徒に対する近隣住民の苦情対応、それから地域貢献の清掃の日程確認だけだったしね」 「その仕事量を三十分で片づけてきやがったのかこいつ……」  さらりと言ってセツナの隣に座るケントに、シグレが表情を引きつらせる。  相変わらずケントの完璧超人ぶりは常軌を逸している。  そのケントはといえば、持参した弁当を取り出しながらセツナに尋ねた。 「ところで二人は何の話をしていたの?」 「ああ。セツナが美人のお姉さんに『ご主人様』と呼ばれたいらしいんだ」 「え? ……え!? セツナ!?」 「話がややこしくなることを言うんじゃねえよシグレ! いいから話聞け。ついでにケントにも付き合ってもらいたいんだけど」 「ごめん、セツナ。僕はあまり、その、そういう性癖には……」 「話聞けっての! だから俺が付き合ってほしいのはメイド喫茶じゃなくて!」 「「なくて?」」  聞きかえすシグレとケントに、セツナは言い放つ。 「――ゲームの中だ!」 「……は?」 「え?」  予想外のセツナの言葉に、シグレとケントはそろって目を瞬かせた。
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