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なんだか滑稽でならない。 そして、それにいちいち心拍を上げていることが、まるで無意味なことに思えてくる。 でも……。 隣の先輩からのレモン飴の匂い、時折聞こえる口の中で飴を転がす音。 そのひとつひとつに、やっぱりいちいち心が反応してしまうんだ。 この人のことを好きだということをまた、自覚させられるんだ。 終点で降りたのは、私と桐谷先輩と、あと3人だった。 いつも桐谷先輩と乗るときにはひとつ前のバス停で降車していたから、一緒に降りることになんとなく気恥ずかしさと違和感がある。 空調の整えられていた車内から出ると、一気に体が重たくなったような蒸し暑さが迎えた。 「え……と、私はこっちだから、ここで……」
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