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「やっぱり、私、見たいです。先輩の絵」 気付けばそう口走っていた。 「今描いてる絵、完成したら見せてください」 「……」 「夏休み明けにすぐ提出しなきゃいけないなら、その前日でもいいし、なんなら途中でもいいので……」 あまり車通りの多くない道路。 1台の車が通り過ぎて、また静けさが戻ると、薄く笑ってる先輩がゆっくり口を開く。 「提出期限は10月だから、わりと余裕あるんだよね。家で描かなきゃいけないってわけでもなかったんだ」 「え……?」 あれ? 何を言ってるの?  意味がわからない。 家で描く必要なかった、ってなに?  いつもよくわからない先輩が、いつもに輪をかけて意味不明で、私は懸命に考えを巡らせる。
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