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だから、美術部に顔を出した時、会いたい会いたくないどっちの気持ちでドキドキしていたのか自分でもわからなかったけれど、やっぱりいなかったらいなかったで、ホッとする気持ちよりも残念な気持ちのほうが大きかった。
厄介だな、と思いつつも、やっぱり私は桐谷先輩に会いたいし、彼の絵が……見たかった。
「ちょっと、全然焼けてないじゃん、沙希」
「涼子はちょっと焼け過ぎじゃない? 日焼け止め塗ったの?」
「塗ったよー。塗ってこれだよー」
涼子の無駄にでかい声が教室に響く。
新学期の空気は独特で、みんな浮足立ってソワソワして見える。
私も例にもれず、なんとなく気がそぞろだった。
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