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すかさず返してくる先輩に、私の口はどんどん尖がってくる。
言っていることがめちゃくちゃだ。
私にとって一大事だったことをそんな軽い感じで言われるのにも腹が立つ。
それに……。
「舞川さんにも同じことしてるし」
「してない」
「だって、先輩言ってた。キスは見てなかったんだ? って」
「あれは、舞川さんの話を最初から聞いてたのかカマかけるために聞い……」
そこまで畳みかけるように言った先輩は、眉間に軽くシワを作り、自分の口元に軽く結んだ拳をあてた。
「……ていうか、なんでこんな必死に弁解してんの? 俺」
ちょっとだけ首を傾げ、先輩は難しい表情のままで下唇をつまんでいる。
あいかわらずよくわからないけれど、頭の中を整理しているように見えなくもなかった。
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