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「ハハ」
また笑った桐谷先輩に腹が立ったけれど、叩こうとして振り上げたもう片方の私の手はすかさずガードされ、逆に手首を掴まれてしまう。
両手共に拘束された私は、桐谷先輩を睨みながら、
「やっぱり、ずるい」
と、小さく悪態をつく。
「うん」
濡れた目の横に唇。
「ずる過ぎる」
耳元、髪の上からもキスされて、ふんわりと頬擦り。
「うん。正面から見る? 絵」
「…………」
握られた両手をゆっくりと引かれて立たされた私は、得意げな顔の桐谷先輩を見て、本当にずるいな、と心の中で呟いた。
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