1人の射手の詩

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その奇妙な店は・・・商品として「対物ライフル」を置いていた。 店の奥深く、他の商品に埋まって見えにくいガラスケースに、「精巧なモデルガン」とラベルが貼られているけど、あいにく実物を見た事があるボクには、それが本物だと分かった。 いつも通う高校の通学路にある雑貨屋。 良くわからないものを売っていたけど、こんな物まで売っていたとはね。 通報しようか考えたけど、自分にメリットがあるわけじゃないから止めた。 信じてもらえないだろうし。 ーーーーー 教室に着くと、1人の大柄な男子がボクに抱きついてきた。 「おはよう、タケル君」 「元気無いなー、カガサキ。 低血圧か?」 「そんなところ」 「神崎 タケル」君。 ボクと同じクラスの男子で、その外見から「おっさん」と呼ばれたりしてる。 タケル君は、中東から転校してきて、日本人なのに「カガサキ・レピンス」という外国人みたいな名前のボクに、最初に声をかけてくれた人。 そして、今は事あるごとにボクを構ってくる。 「カガサキ。 今日、オレの家に寄って行かねぇか?」 「タケル君の家?」 タケル君が、ボクの肩を抱きながら言った。 「タケル君の両親に迷惑じゃない?」 「二人共、明後日まで居ないんだよ」 またパチンコか遊びに行ってるのね。 タケル君が前に話していた事を思い出す。 「なら、いいよ」 「サンキュー!」 ボクが答えると、タケル君は嬉しそうな顔をしながら、ボクの頭を撫でた。 ボクが身長150cmで、子供みたいに見えるからって、ひどい。 でも、タケル君らしいから良いけど。
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