序章『目の前に突然アイドルが』

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杏奈の言葉に遥翔は再び安堵の表情を浮かべるが、この時点ではまだ遥翔にとってこの安心は完全なものではなかった。 「まったくびっくりさせるなよな?」 (ほんとに大丈夫かな。居場所ばらされたりしないよな? まあばらされたからと言って自分が悪いんだから仕方ないけどな?) そこへ杏奈がおどけた表情で謝罪してきた。 「ごめんなさい、ちょっと意地悪してみたくなっちゃった」 遥翔は杏奈の言葉に不思議と彼女は自分に不利になるようなことはしないと感じていた。もちろんそれは根拠のある物ではなかったがどこか安心できるものの様に感じていた。 この時杏奈の謝罪に返す遥翔の表情には溢れんばかりの笑みがあふれていた。 その直後遥翔は杏奈に対し思わぬことを願い出る。 「またかよ、まったく勘弁してくれよな? それより頼みがあるんだけど」 「何頼みって?」 杏奈はこんな田舎者のあたしに一体何の頼みだろうと首を傾げていた。 「来たばかりでこの島の事何も知らないんだ。この後島を案内してくれるかな?」 「なんだそんな事? もちろん良いけど別にたいした島じゃないよ。それにこれと言って観光できる様な所何もないし」 そうは言うものの、杏奈はあの遥翔と一緒にいられるとの思いから心臓が口から飛び出るんじゃないかと思うほどドキドキしていた。 「何言ってるの良い島じゃん、海はきれいだしさ。僕はこんな自然に囲まれたのどかなところ好きだよ。だけどずっと民宿にいるのも退屈なんだ、なぁ頼むよ」 (やだっ遥翔がこの島の事言い島だって、この島好きだなんて言ってくれちゃって、なんか嬉しい)
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