序章『目の前に突然アイドルが』

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「けどほんとに何もないよ。それより大丈夫そんな格好でばれたりしない?」 この時の遥翔はTシャツにジーンズ姿というすごくラフな格好だった。 「大丈夫だよ心配しなくて、問題ないって。それにあまり人いないじゃん」 周りを見渡しながら言う遥翔。 「それはそうだけど、サングラスくらいかけた方が良いんじゃないの?」 「ありがとう心配してくれて、でもほんと大丈夫だから」 「そんな事より港ではどうだったのよ、その格好で良くバレなかったじゃない」 「船の上や港ではサングラスをかけていたし帽子を目深にかぶっていたからね、あとマスクもかけていたしね。もしかしたらそれでもバレていたのかもしれないけど黙ってくれているのかもしれないね」 「それはないんじゃないかな? この島の人達は有名人が来たとなったら黙っていられない人たちだから今頃大騒ぎよ。てことはバレいないって事よ」 「それなら安心なんだけどね」 「それはそうと遥翔もこんな格好するんだね。なんかテレビで見る遥翔はこんな格好見た事ないからさ、もっとこうステージ衣装やそれ以外ではブランド物でビシッと決めているイメージって言うか……」 (でもどんな格好してもやっぱり遥翔はかっこいいなぁ?) 「何言ってるの? 僕だってこの位ラフな格好する事あるよ。それに毎日ブランド物で決めてかっこつけてたら疲れちゃうじゃない? それにこの島でそんな恰好をしていたら余計目立つしね」 「それもそうよね、なんか遥翔の違う一面を見られて得した気分」 「ちょっと大げさじゃないか?」 ここで杏奈は遥翔にひとつの小さな疑問を投げかけた。
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