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(耳障りな奴等だ)
「さっきから、うるせぇえぞ!!」
ペレも荒んだ毎日の生活の苛立ちもあり、思わずケンカを吹っ掛けた。
よく見れば自分と年もそう変わらない、風貌は出てきたばかりの田舎者だった。
(二人が相手でも楽勝だな)
そんな風に思えた。
『表へ出ろ』
ペレが顎で男に向かって合図を送る。
眼鏡を掛けた男は、短髪の男を引き止めるが、その男は、臆する事なく立ち上がり、後ろをついて来る。
どうやら二対一ではなく、短髪の男一人が相手のようだ。
二人がかりでも構わないと、心では思っていたが、そんな卑怯な真似をする奴等ではないらしい。
まあ始まって見ればどうなるかは、わからないが……。
威勢良く格好つけていても、いざ不利となると多勢で襲ってくる。
そんな奴等を何人も見てきたし、珍しくはない。
そうでなくとも、後ろから突然殴りかかって来る奴もいる……が、この男はそうはしなかった。
黙って後ろをついて来る。
(なかなか骨がありそうだ)
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