情報屋ペレ

8/8
前へ
/8ページ
次へ
13歳とは言え、同年代の相手に一対一のケンカで負けた事の無かったペレが、その直ぐ後に衝撃を覚える事になる。 短髪の男一人に、なすすべもなく叩きのめされたのだ。 項垂れるペレに、手を差しのべたのはもう一人の眼鏡の男である。 話を聞くと彼らは、騎士に為るために田舎から出てきたが、金を騙し盗られ、別に取っておいたわずかな金でヤケ酒を飲んでいたという。 「その詐欺師を探すのを手伝わせてくれないか?」 ペレは、二人の男を何故だか気に入った。 年は違えど亡くなった兄の面影を見たのかも知れない。 「いいのか?助かるよ」 眼鏡の男が恐縮したように礼を言ってきた。 「お前、名前は?」 短髪の男もいつの間にか笑顔になっていた。 「おい、こっちから名乗るのが礼儀だろ」 眼鏡の男が短髪の男の胸を軽く叩く。 「あっ、そうか。悪ぃ……。俺はロッシ、こいつはルセナだ。宜しくな」 これが二人との出会いである。 その後、詐欺師は見つからなかったが、二人は騎士見習いとなる。 一緒にと誘われたが、断った。 兄の事もあり、騎士になるつもりはなかったからだ。 代わりに、父の形見でもあるウエスタンハットを被り、いつかアレクサンドロ一家の再興を夢見ている。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加