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13歳とは言え、同年代の相手に一対一のケンカで負けた事の無かったペレが、その直ぐ後に衝撃を覚える事になる。
短髪の男一人に、なすすべもなく叩きのめされたのだ。
項垂れるペレに、手を差しのべたのはもう一人の眼鏡の男である。
話を聞くと彼らは、騎士に為るために田舎から出てきたが、金を騙し盗られ、別に取っておいたわずかな金でヤケ酒を飲んでいたという。
「その詐欺師を探すのを手伝わせてくれないか?」
ペレは、二人の男を何故だか気に入った。
年は違えど亡くなった兄の面影を見たのかも知れない。
「いいのか?助かるよ」
眼鏡の男が恐縮したように礼を言ってきた。
「お前、名前は?」
短髪の男もいつの間にか笑顔になっていた。
「おい、こっちから名乗るのが礼儀だろ」
眼鏡の男が短髪の男の胸を軽く叩く。
「あっ、そうか。悪ぃ……。俺はロッシ、こいつはルセナだ。宜しくな」
これが二人との出会いである。
その後、詐欺師は見つからなかったが、二人は騎士見習いとなる。
一緒にと誘われたが、断った。
兄の事もあり、騎士になるつもりはなかったからだ。
代わりに、父の形見でもあるウエスタンハットを被り、いつかアレクサンドロ一家の再興を夢見ている。
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