第2章

2/7
前へ
/20ページ
次へ
それから半月くらい、彼の勤める書店から足が遠のいていた。 ひとつの事件が片付く間もなく、次の事件。警察庁と官舎を往復するのがやっと。それも帰れればマシな方で、泊り込みになる事もしばしば。 長期出向という形で来ていた警視庁だが、どうやらこのまま移動になりそうな気配だった。 容疑者を送検して、そのまま庁に泊り込んだ翌朝。 今のところ新しい事件はないと見て、上司が有休を押しつけてきた。 さすがに気力と体力が続かない。ありがたく頂戴する。どうせ事件が起これば容赦なく取り消されるんだし。 帰って風呂に入ってとりあえず寝ようと思っていたのに、車はいつのまにか通いなれた書店への道を辿っていた。 自動ドアを潜ってカウンターに視線を投げれば、青羽の姿はない。 ローテーションなのか、休みなのか……なんとなく気持ちが落ち込んだ自分に苦笑する。 とりあえず文庫の新刊と、それからまた園芸関係の本を1冊買って店を出た。 鉢に蒔いた種は相変わらず育ちが悪い。一度は枯らせてしまって、また蒔きなおした。 やはり花屋とかに育て方を尋ねた方がいいのかとも思うが、ああいった店にはなんとなく行きづらいのが本音だった。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加