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観るといっても、実際に観るのは子供たちだけで、私はボーッとしているだけだ。
そして、ふと居間の隅にある仏壇に目がいった。
仏壇には私が二十歳の時に51歳という若さで他界した父の遺影が飾ってある。
父がいざという時のために生命保険にしっかりと加入していてくれたお陰で、そんなに生活には支障は無かったにせよ、まだ弟の晃は十五だったし、私もまだ大学に通っていたから、母はさぞかし大変だったと思う。
母は私たちのために必死になって働きながら、更に家のこともしっかりとこなしてくれていた。
あの頃も、その有り難みは感じていたつもりだったが、実際に家庭を持つと更にその有り難みを肌で感じるようになった。
家庭を支えるという事がどれだけ大変かなんて、結婚するまで考えもしなかったからだ。
主人がいなくなって、二人の子供をたった一人で育てなければならないことを想像するだけで、私なら逃げ出したくなる。
母には感謝しても感謝しきれない。
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