247人が本棚に入れています
本棚に追加
/348ページ
そんな子供達の気持ちを思うと、彼女に拒まれたくらいでは私は帰る気なんて毛頭ない。
そんな事を思いながら、秋元 鈴菜の部屋のインターホンを鳴らす二葉を後ろで眺めていた。
インターホンから返事が聞こえ、ドアのロックが外れる音がする。
そして、扉が開かれて秋元 鈴菜が顔を出す。
「おはよう」
私は二葉の後ろから顔を出してそう言った。
「…どうせ、そんな事だと思いましたよ」
秋元 鈴菜が怪訝な表情を浮かべて皮肉を言う。
「何か用ですか?」
彼女がぶっきら棒に私に訊くが、私はそれには答えずに扉を更に外側へと開いた。
秋元 鈴菜が驚いた表情をしている隙に、私はスッと部屋の中へと入っていく。
「お邪魔します」
悪びれた様子もなく平然と玄関で靴を脱ぐ。
「…ちょっと!」
二葉も私の様子を見て、同じように靴を脱いで中へと入っていく。
「…人の部屋に勝手に上がって何を考えているんですか!?一体、何をする気!?」
彼女の怒声に対して、私は左手を少し上げてケーキが入った紙袋を彼女に見せた。
最初のコメントを投稿しよう!