4ー6

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彼女はゆっくりとその場に座り込み、手紙を持ったまま声を上げて泣き始めた。 すぐに二葉が荷物をその場に置き、彼女に寄り添う。 私も同じように彼女の側にしゃがみ込んだ。 そして、彼女の頭に手を置き、優しく撫でた。 しばらく彼女が落ち着くまで、私達は側で黙って彼女を見守る。 彼女は今までの全ての悲しみを洗い流すかのように泣いていた。 きっと、我慢していた部分があったのだろう。 だから、誰かにその苦しみを分かって欲しかったのかもしれない。 彼女が私に手紙を送っていた理由の中にもそれがある気がした。 彼女は私なんかよりも、ずっと長く修一の死を悲しんできたのだから… これからも彼女の力になりたいと思った。 それは修一から頼まれただけではなく、心から彼女の事が心配になり、立ち直って欲しいからだ。 何より、彼女の苦しみは私が充分に理解している。 もっと早く私が修一の死を知っていれば、こんなにも彼女は苦しまずに済んだかもしれない。 …だから、例え彼女が私を拒んでも、私はめげずに彼女の側に寄り添っていくつもりだ。
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