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彼女を見て、固まっている同僚もその一人だ。
「…一体、誰のせいで彼が怒られていたと思っているのよ…?」
彼女の言葉を聞いて、反射的に向かいの同僚に視線を向ける。
「違う彼女じゃないわ。あなたよ、五十嵐 灯さん」
えっ…?私…!?
自分でも普段仕事でミスをしない自信があったので、つい目の前の同僚を疑ったが、まさか自分のミスのせいで柳さんが怒られていたとは思いもしなかった。
「…じゃ、私は先に行くね」
自分ではないと知るや否や、いつの間にか食事を済ませていた同僚はさっさとお盆を持ってこの場から退散していった。
薄情者め…
代わりに女性社員が向かい側の席に腰掛けた。
「…今朝、私のミスで柳さんが怒られていたのは本当ですか?」
「ええ、本当よ。営業先に渡す大事な書類の金額が一桁間違えていたの。あとで、確認させてあげる」
…ショックだった。
よりによって、そんな大事なところを間違えるなんて…
私は申し訳なさと、ミスをした不甲斐なさで、思わず俯いてしまう。
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