プロローグ

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彼女の後ろ姿を見ながら、ため息を吐いた。 それは彼女から解放された安堵感のため息ではなく、ミスに気付けなかった自分と何も私に言ってこなかった柳さんに対するものだった。 何で言ってくれないのよ… 私は苛立ちながら、目の前のアジフライにかぶりついた。 ◯ 「…書類の件、本当にすみませんでした」 仕事終わりに営業から帰ってきて休憩コーナーで缶コーヒーを飲んでいた柳さんを見つけて頭を下げた。 私の行動に柳さんはやや驚いた面持ちで、慌てて私に頭を上げるよう促す。 「突然、どうしたの?一体、何の事だい?」 一瞬、狐につつままれた気分になった。 何って、このタイミングで私が謝ってるって事は一つしかないでしょうが… 「…今朝、柳さんが怒られていた原因が私のミスのせいだったという事です」 私は謝りに来ている筈なのに、どこか怒り口調になってしまう。 「…ああ、あれね。気にしなくていいよ」 彼は軽々しく言ってのけた。
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