プロローグ

8/11
前へ
/348ページ
次へ
彼のその軽率さが私を更に苛立たせた。 「ミスはミスなので、きちんと言って貰わなければ困ります。ミスを知らないままだと、また同じミスを繰り返すかもしれないんですよ?」 突っかかるように言った。 これではどちらが謝っているのか分からない… すると、彼は私の態度に対して反論するどころか、クスッと笑った。 「それだけしっかりしていたら、次からはもう大丈夫そうだね」 目の前で笑顔を見せている彼に、私は心底呆れた。 「お人好し過ぎるとこ」 昼間に聞いた言葉を思い出す。 本当にこの人は… こんな事で出世なんて出来るのかしら? そもそも、営業なんて務まるの…? いいように利用されてしまうのがオチじゃない? あれやこれやと彼に対する苛立ちが頭の中でいっぱいになる。 彼の返答に納得出来ずに黙って立っていると、彼は仕方ないなと言わんばかりにため息を漏らして話を始めた。
/348ページ

最初のコメントを投稿しよう!

252人が本棚に入れています
本棚に追加