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「…確かに書類にミスはあったけど、それを確認して営業先に持っていくのが僕の仕事。君は普段からきちんと仕事をこなしてくれているし、つい大丈夫だろうと勝手に信用して甘えてしまったんだ」
彼は頭を掻きながら笑った。
だが、急に真剣な表情へと変わる。
「だから、今回の件はチェックを怠った僕の責任だ」
真っ直ぐな瞳だった。
さっきまでのヘラヘラさが、今の彼からは全く感じられないくらい真剣な口調だ。
そのギャップにドキッとしてしまい、急に込み上げてきた胸の高まりが抑えきれなくなる。
私は彼の視線を受け止められなくなって、思わず視線を外してしまった。
「あっ、勿論これからも五十嵐さんの事は信用しているよ」
と彼は優しく付け足す。
私はすっかり彼を直視出来ない状態にまで陥ってしまっていた。
私のその態度にまだ納得していない私がいると彼は思っている様子だったので、高鳴る鼓動を必死に抑えながら話を切り出した。
「…迷惑を掛けてしまったので、私にお詫びをさせて下さい」
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