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「出版元にはあるようですので、
お取り寄せいたしますか?明後日には届くと思いますが」
「そうですね、
お願いします」
「では、
こちらにご連絡先をお願いできますか」
差し出された取り寄せ依頼票に、
名前と住所を書き込む。
ペンを動かす手元に彼の視線を感じて 、
なんとなく落ち着かなかった。
「電話にあまり出られないかもしれません。
その時はこちらから折り返しますので」
「あ、
はい。
分かりました」
ありがとうございました、
とかけられた声に振り向けば、
彼が満面の笑みで見送っているから。
思わずこちらも微笑んだ。
きっと誰にでも平等に向けられているのだろう、
彼の笑顔。
それを独占している女性もいるんだろうな――と、
なぜかそんな事をふと思った。
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