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「デートか?」
「違う。
ちょっと用だよ」
「……のわりには、
なんか顔が緩んでるぞ」
軽くかわしたつもりが面白そうな顔で突っ込まれて、
反射的に手が口元に上がった。
同僚のにやにや笑いが大きくなる。
「え?図星か?」
「違うって……取り寄せの本が届いたから……」
嘘ではないし何も疚しいことなどないはずなのに、
何故か意思に反して顔が熱くなってくる。
まあ頑張れよと訳知り顔に頷いてくる同僚に、
お先と乱暴に言い捨てると部屋を出た。
からかわれてむっとしていた気持ちはしかし、
車のハンドルを握る頃にはすっかり消えてしまっていた。
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