第1章

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「…………」 量の多さにくらりとした頭を立て直して、 背表紙をつらつらと眺める。 はっきり言って何がなにやら分からない。 とりあえず初心者向きと思われる一冊を手に取った。 「これを一緒にお願いします」 カウンターに差し出すと、 彼がちょっと目を見張った。 園芸の本なんか買ったことがなかったからだろうかと、 ちらりと思って。 いやしかし毎日大勢の客が来るこの店で、 一人一人が買った本なんていちいち覚えているわけがないと打ち消した。 ……それとも覚えているものなのだろうか。 仕事だから、 そういうものかもしれない。 自分だって事件関連ならば、 時間が経っても結構細かい事まで思い出せる。
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