第1章

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手がけていた事件の容疑者を送検して、 一息ついた帰り道。 夜も10時を過ぎてライトアップされた書店の看板を見た時に、 いっこうに育たない鉢植えのことを思い出した。 今度はきちんと中身を確認して、 花が載っている本を選ぶ。 カウンターには彼が居た。 「……ガーデニングとか、 お好きなんですか?」 不意に聞かれて目を上げた。 「え……いや、 そういうわけでは、 ないんですけど」 どうやら俺が買った本は覚えているらしいと気づいて、 少し動揺した。 仕事上のことだから?――それとも……? ちょっと、 と言葉を濁して、 カウンターから離れる。
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