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なぜか彼の前では平静でいられない自分が、
確かに居て。
でもそれがどうしてかは分からなかった。
やはり苦手なタイプだからだろうかとも思う。
なんとなくもやもやとした気持ちを抱えたまま駐車場まで戻った時、
携帯が鳴った。
『多紀!強盗傷害事件だ。
今どこに居る?』
その言葉に、
一瞬で現実に戻る。
「麹町です」
『近くだ――ちょっと待て』
電話の向こうで言い交わす声。
『今また緊急通報があった。
栄華堂という本屋だ。
場所は』
「目の前です!」
『え?おい!』
携帯を切ると、
駐車場を駆け戻った。
自動ドアが開いた店内から悲鳴と怒号が溢れ出た。
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