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カウンターから見えない書棚の前に立って、
溜息をつく。
彼が絡むと何故だか思うとおりにいかない気がする。
身体と感情ばかりが先に動いてしまうみたいで……困る。
それでもここまで来たからには、
何もしないで帰るわけには行かなかった。
ともかくきっかけを作ろうと、
書架から本を一冊取る。
「……これを」
棚から抜いた『優しいガーデニング初級者篇』という本をカウンターに差し出した。
「650円です」
応じる彼の方も固い口調。
やはり俺に怒鳴りつけられた事を、
面白くは思っていないのだろうか。
いつも真直ぐに合わせてくる視線がすっと下に外されるから、
唇を噛んだ。
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