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「店の外で泣いてたんですよ」
ふーんと泣いている女の子に視線を落としながら、
男がレジ前の棚に並べてあるキャラクターもののぬいぐるみに手を伸ばした。
掌ほどの大きさのそれを3つ掴むと、
ビニールに包まれたままのぬいぐるみを、
ぽんと宙に放り上げる。
ガサ、
ガサと、
大きな音を立てながら、
男がぬいぐるみでお手玉をはじめた。
意表をつかれたのか、
泣きじゃくっていた女の子の顔が上がり、
その目が丸くなる。
「青羽さん、
それ売り物……」
「まあ、
ちょっとだけ」
女性店員の言葉を柔らかな笑みが遮った。
ガサ、
と音が止まって。
青羽と呼ばれた男が女の子の顔を覗き込んだ。
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