第1章

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「店の外で泣いてたんですよ」 ふーんと泣いている女の子に視線を落としながら、 男がレジ前の棚に並べてあるキャラクターもののぬいぐるみに手を伸ばした。 掌ほどの大きさのそれを3つ掴むと、 ビニールに包まれたままのぬいぐるみを、 ぽんと宙に放り上げる。 ガサ、 ガサと、 大きな音を立てながら、 男がぬいぐるみでお手玉をはじめた。 意表をつかれたのか、 泣きじゃくっていた女の子の顔が上がり、 その目が丸くなる。 「青羽さん、 それ売り物……」 「まあ、 ちょっとだけ」 女性店員の言葉を柔らかな笑みが遮った。 ガサ、 と音が止まって。 青羽と呼ばれた男が女の子の顔を覗き込んだ。
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