第2章

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「多紀さん!」 駐車場で聞き覚えのある声に呼び止められて。 はっと振り向くと、 バイクが止めてある一画で青羽が手を振っている。 スニーカーをつっかけながら、 転びそうな格好で走ってきた。 「……カウンターにいないと思ったら、 上がりだったのか」 目の前で息を弾ませる彼の表情が、 なんだか眩しい。 「あ、 今日は日勤で……多紀さんも帰りですか?」 背中のディバッグをひょいと背負いなおして、 彼が訊ねてくる。 「ああ、 捜査がひとつかたがついたから、 とりあえずな」 「――ガーデニングが、 お好きなんですか?」 手に提げていた半透明の書店のビニール袋に、 彼が視線を落とした。
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