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「好きと言うわけではないんだが……上手く育たなくて」
「庭ですか?」
「いや、
鉢植えなんだ……種を蒔いた」
「なんて花?」
「……バーベナーとか、
書いてあったかな」
「本見るよりも、
花屋さんに聞いた方が早いんじゃないですか?」
至極当然の質問をされて、
口篭る。
「仕事の時間帯が……なかなか合わなくて」
「……奥さんは?そーゆーのやっぱり苦手なんですか?」
いきなりの言葉に、
一瞬意味が分からなかった。
青羽の視線の先にはっと気づけば――薬指に嵌っている、
プラチナの指輪。
「長期出向で、
来ているんだ……宮城から」
何と答えたらいいものか分からず、
曖昧な表現を使う。
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