第2章

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「好きと言うわけではないんだが……上手く育たなくて」 「庭ですか?」 「いや、 鉢植えなんだ……種を蒔いた」 「なんて花?」 「……バーベナーとか、 書いてあったかな」 「本見るよりも、 花屋さんに聞いた方が早いんじゃないですか?」 至極当然の質問をされて、 口篭る。 「仕事の時間帯が……なかなか合わなくて」 「……奥さんは?そーゆーのやっぱり苦手なんですか?」 いきなりの言葉に、 一瞬意味が分からなかった。 青羽の視線の先にはっと気づけば――薬指に嵌っている、 プラチナの指輪。 「長期出向で、 来ているんだ……宮城から」 何と答えたらいいものか分からず、 曖昧な表現を使う。
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