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手間をかけてすまないと言うと、
気にしないでと笑い返される。
「これで元気になるといいですね」
「……ああ、
そうだな」
そう言うと、
彼の視線が僅かに外された。
その視線が、
窓際のローチェストの上で止まる。
この間、
引越しの荷物から出したばかりの、
写真立て――彼女と写っている、
結婚式の写真。
無言で見つめ続ける彼の横顔に、
心臓が知らない音でどくりと鳴った。
「……きれいな人ですね」
彼がぽつりと呟くように言った。
「写真うつりのせいかな……なんだか多紀さん、
ずいぶん若く見えますね」
「……二十の時の写真だから」
「はたち?」
青羽がびっくりした声を出した。
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