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もうずっと長いこと、
嵌めていることすら意識していなかった薬指の指輪が、
不意に質感を変えた気がした。
数日後。
青羽のアドバイスが良かったのか、
鉢の中に小さな蕾がついた。
……彼に報告しなくちゃな。
淡く色づいた蕾に指先で触れながら。
誰よりも彼女を思い出すはずのこの花に、
別の人間が結びついてしまった事に。
罪悪感めいたものを感じずにはいられなかったけれど。
「あ、
いらっしゃいませ!」
書店に行くと、
青羽がカウンターから身を乗り出すようにして声をかけてきた。
ふさふさとした 尻尾をぱたぱたと振っている大型犬を、
なんとなく連想する。
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