第2章

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「じゃあ、 連絡する……君の携帯を教えて貰ってもいいかな?」 「はい、 えーと」 携帯を取り出した青羽が画面を開く。 「……事件が起こらないことを祈っていてくれ」 冗談半分の言葉に、 はい!と彼が満面の笑みを浮かべた。 「わ、 咲きましたね」 「君のおかげだ。 ありがとう」 鉢植えを見たいと青羽が言うから、 食事に行く前に官舎に寄った。 淡いピンクの花が小さく開いている。 「せっかく咲いたんだ。 枯らしてしまわないよう、 せいぜい気をつけないとな」 「……もしかして、 奥さんの好きな花、 とか?」 いきなり訊かれて思わず彼を見た。 見つめてくる黒い大きな瞳をなぜか正視できずに、 視線を逸らす。
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