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ふっと顔を上げると、
こちらを見つめている彼の視線と出合った。
真直ぐな眼差しなのに、
そこに映る意味が読み取れないほど、
深い瞳。
「……青羽くん?」
彼の長い指が伸びてきて俺の髪に触れるのを、
どこか人ごとのような気持ちでただ見つめていた。
髪から落ちた指先が首筋に触れる。
肌にぞくりと波が立った。
「……あお」
触れるか触れないかの指先が熱くて。
干上がった気がする喉から、
やっと声を出す。
「髪の毛がついてます……じっとして」
顔を寄せて囁かれて、
思わず視線を落とした。
青羽の指先が触れている場所が、
とくとくと脈動を早めた気がした。
自分の反応が理解できずに、
内心で苦笑を零す。
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