【土曜の晩】

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普通、新入社員でこんな…小林君の様な態度を取るのは信じられない事だと… 私個人は思うのだが、彼に難しい仕事を申し付けると「この業務、僕の給料の額に見合う内容じゃありません」と拒否をする。 本来、うちの課は三ヶ月の研修期間を終えると、新人も自分の担当業務を与えられ、個々の責任で業務をこなしている。 同時に、数有る業務の中でどれを選ぶかの選択権をも与えられる訳で… まあ、これが我が社の『方針』というものなのだが、私個人としてはあまり好きな方針ではない。 新人ほど大変な業務を仕事を早く覚える為に進んでやり、それを周りの先輩社員がアドバイスやフォローをする事で、うちの課は強い連帯感や結束感が生まれ成り立っている所が有る。 まあ、小林君が周りからあまり良く思われないのも当然の結果であるかもしれない。 しかし、本人はその事に気付いているのかいないのか、とにかく明るい笑顔を周囲に振り撒きながら毎日、出社して来る。 それと… 小林君は職場でちょっと嫌な事が有るとすぐ次の日、仕事を休む。 しかも、 その休み方というのが…。 ある日、こんな事が有った。 私がいつもの様に出社して来ると小林君の姿が見当たらない。 「あれ?今日は小林君は休みか?誰か彼からの電話連絡を受けた者はいるか?」 と、聞いてみた所… 「はい。実は…」 小林君の同期の中丸君が申し訳なさそうに挙手をした。 「今日、小林は腹痛で休むそうです。さっき、僕のスマホにLINEが来ました」 「えっ?『らいん』って…それは、何だ??」 私は、中丸君から『らいん』についての説明を受けだが、何だかよく分からない。 それで中丸君のスマート・フォンの画面を見せてもらった。 と、そこには、 何やらマンガのセリフの『ふき出し』みたいな物がいくつか映っていて、その中の一つに 『悪ィ。今日ちょっとハラ痛いんで会社休むわ。みんなによろしく言っといて。コバヤシ』 というのが有った。 私は、呆れ返った。 無断欠勤をしないだけマシな話だが、休むのなら同期社員のスマート・フォンではなく、直接、職場に電話連絡して来るのが当然の礼儀ではないか。
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