最後のメール

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広告代理店アド・エージェンシーにつとめるゆかりの夫、山科隆志の部下の森永恵子は 同時にゆかりの大学の後輩で、学生時代から伝説的お調子者と言われ、会社でも さまざまな武勇伝をものしていた。 その森永恵子が商社マンと結婚するので退社の挨拶代わりにメールを送ってきた。 それは「お世話になったアドエージェンシーの皆様ごきげんよう」というタイトルで始まっていた。 「おかげ様で無事、寿退社となりました。来週からはニューヨークです。 人生の楽しいひとこまをこの会社で送ることができたのは幸せでした。 思い起こせば色々な方にお世話になり、感謝に堪えません。 最後に私の思いを皆様に送らせて頂きます」 ・・・と、ここまではしおらしかった。 なにが書いてあるのだろうかと続きを読むとビックリだった。 「1.北海道の思い出・・・ 出張で北海道に行ったとき、相談があるといってホテルの自分の 部屋に入ってきてのしかかってきたので思いっきり股間を蹴飛ばしてやった山田部長。 あそこは大丈夫ですか。 2.プロモーション局の思い出・・・ ①いつも同じプロダクションに高い料金で仕事を発注し、最近BMWを買った八田局長  お金の出所はバレていませんか。 ②イベントを発注するたびにキャンペーンガールに手を出すという噂のある山下部長  まだやっていますか。 3.テレビ局の思い出・・・  五十歳近い鶏がらみたいなお局さんと交差点でいちゃついているところをテレビ局の  幹部に見られてしまいからかわれた杉森局長、奥様は知ってますか。 4.デジタル局の思い出・・・ ①皆さん、クライアントに渡した広告掲載確認書通りにやっていますか。   適当に間引きした掲載スペースでプールしたお金は誰が使ったのですか。 ②加藤部長、視察と称してメディアと一緒にオンナ連れでラスベガスに行った費用は  どこから出たのでしょうか。 5.社長室の思い出・・・  前の社長に高価なゴルフセットを送った福山常務、新社長には何を贈りますか。  社長にお世話した女性はどこのクラブの方ですか。 6.会社の皆さんの思い出・・・そしてもっとすごいことを色々とやっていらっしゃる○○さん  お元気で! ○○について知りたければ以下のURLをクリックして下さい」 そう書いてあったのでクリックしたところ 「それはお前だ」 と真っ赤な大きな字で書いてあった。
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