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1ヶ月程して、島津さんは無事退院して、職場に復帰した。
島津さんは、銀行強盗の犯人のことが気になるらしく、留置場に面会に行っていた。
また、犯人から母親の状態を聞き出して、母親の入院している病院にも足を運んだようだ。
僕は、島津さんは犯罪者のために、なんであんなにも一生懸命になるんだろうかと感じていた。
ある日、仕事帰りに電車に乗り込もうとしたとき、以前スリと間違えて逮捕しそうになった男性に出会った。
僕は、男性に声をかけて、島津さんとの関係について質問した。
すると、その男性は、以前スリで逮捕されて刑務所に入ったが、刑期を終えて出所すると、島津さんが声をかけてきたという話だった。
島津さんは、その男性のために仕事を探したり、困ったときに助けてくれたりしたとのことだった。
その男性は、
「おやじさんへの恩は、一生忘れません。
今細々と幸せな生活を送ることができているのは、おやじさんのおかげです。
本当に、ありがたいことです!」
と話してくれた。
後日、島津さんに、この男性と会った時の話をしたら、
「そうか、元気に頑張ってくれているんだな!」
と嬉しそうに答えてくれた。
島津さんに、銀行強盗の犯人をどうするのか質問すると、
「あの男も、根は悪いやつじゃねぇ!
目を見りゃわかる。
あの男の目は、一点の曇りもなかった。
俺に何ができるかわからんが、何か助けてあげたいと思っている。」
と答えてくれた。
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