第1章

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 私の上司って本当に馬鹿なんですよ。上司を馬鹿にする部下って言うのもどうかとおもいますけど、使えない上司って言うのはどこにでもいるじゃないですか。ただの愚痴の一つとして聞いてくださいよ。 川原係長って確かに顔はいいんですよ。10人に聞いたら8人ぐらいはイケメンだって答えるんじゃないですかね。渋いおじさんって感じですし。でも、顔が良くて40台半ばまで恋人すらできたことないって時点でなんとなくわかりますよね。とにかく性格が残念というか救いがないんですよ? 知ってます? というか聞いてます?  聞いているならいいんです。馬鹿なのに見栄っ張りなんですよ。川原さんって飲み会好きなんですよ。今時飲みニケーションなんて時代じゃないと思うんですけどお酒の力を借りないとうまくコミュニケーションができない人でしたらからね。特に、若い人や後輩と飲みに行くのが好きだったみたいですね。私も何度も誘われたことありますよ。見栄っ張りだから飲み代は絶対におごってくれましたから結構皆も参加していたみたいですよ。  前に結構高級な焼き肉屋に連れて行ってもらったことがあるんです。私は川原さんで初めて見ましたよ。注文を聞きに来た店員さんにメニューも見ずに「この店の高いものから順番に持ってきて」なんて。バブルかっつーの。金持ちかっつーの。確かにうちの会社って結構大手ですし40半ばで独身の川原さんはお金は持っているんでしょうね。特に趣味もなかったみたいですし。とにかく、その時に一緒に来ていた後輩たちは大歓声ですよ。若い男が多かったですからね。皆遠慮なく食べる食べる。飲み食いを始めてから1時間ぐらいで川原さんの顔がだんだん引きつってきて顔が真っ青になっていくんですよ。財布と時計を交互にみているんです。明らかにお金が心配なんだなって思いましたよ。だから、私言ったんです。「足りないなら、私も出しますよ」ってでも、川原の馬鹿は顔面蒼白で首を横に振るんです。「大丈夫、俺が払うから」って言って。これ以上支払いが増えないように自分はマッコリばっかり飲んで、肉たべてないんですよ。結局持ち金じゃ足りなくて私が貸したんですけど。皆に喜ばれた、り褒められたりするとすぐ調子に乗るんですよ。馬鹿だから。変な人でしょ。笑えません? 笑えない? 笑えよ。 バキッ。
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