馬鹿は死んでも治らない

第1章

ほら、笑った。面白いでしょ？　馬鹿だけど愛敬はあるんですよ。あ、でも勘違いしないでくださいね。確かに愛敬はあるんですけど仕事は本当にできないんですよ。この前も商品の発注を頼んだら商品の数一桁間違えやがったんですよ。誰にも確認してもらわずに自分で発注書つくって部長の印鑑かってに押して発注した結果がそれです。商品はあちこちに頭を下げてどうにか返品できたんですけど、部長は激怒りですよ。なんで誰にも確認してもらわなかったんだ。そもそも勝手に印鑑を持ち出すんじゃないとか色々。でも川原さん馬鹿だから絶対謝らないんです。確認してもらわなかったのは間違っていないと思ったから印鑑を持ち出したのはそこにあるのを知ってたから。っていうんです。馬鹿でしょ。救いようのないほどの。本当にどうしてこの人が係長になれたのかはこの会社の七不思議ですよね。部長も川原さんが謝らないからヒートアップしちゃって終業時間間際から説教を始めたのに3時間過ぎてもまだ説教終わらないんですよ。うちの部署のミスでしかも係長が怒られているなんて帰れないじゃないですかだからずっと待ってたんですよ。部長の説教が終わるまで。マジで迷惑でした。私彼氏とデートの約束していたのにドタキャンですよ。死ねっておもいましたね。結局、最終的には私が我慢できなくなって「お前が悪いんだよ！」って叫んで後ろからひっぱたいたら部長がドン引きしちゃって終わったんですけどね。
バキッ。