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それは懐イ…思イ出。 僕は忘れていた。いや、忘れるように言い聞かせた。きっと彼女らも忘れていたと思う。 11年前… 「なんで、そんな事言うの?…寂しいよ…」 君は泣きながら僕に言った 「泣かないでよ。僕だって嫌だ…」 僕は君の頭を撫でて言った 「みー、仕方ないよ。ゆうパパが違うとこに行くのだから。」 君のお兄さんは大人びていてかっこ良かった。 僕は君の目を見て言った。 「お願いだから泣かないで。きっと迎えに来るから…大きくなったら絶対迎えに来るから…ね?」 「…ぜったいだよ?ぜったいの、ぜーったいだよ?ゆうくん約束だからね?」 「うん。約束する。」 君の笑顔が見たくて僕は精一杯の笑顔で頷いた。 そして、子供ならではかもしれないけど お花で作った指輪を渡した。 お母さんから聞いた白と赤のアネモネで作った指輪…意味を込めて 気づいてくれるか分からないけど 「ありがとう…」 照れて顔を隠す君を僕は多分忘れられない。 そして僕はお父さんの転勤により引っ越した。
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