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「一之瀬 美雪です。よろしくお願いします。」
「それじゃあ、美雪ちゃんの席は千奈津ちゃんの横ね。」
「はい、分かりました。」
ちなっちゃんは君を見て嬉しそうに笑った。君は緊張しているのか少しかたい笑顔を返していた。何かを楽しそうに話す、ちなっちゃん。それを聞いている君。それはどこか懐かしげで…でも僕の知ってる名前ではないから、気のせいなのは分かってる。ただいつもより心臓の音が早いように感じた。男子生徒が、ざわついて居ると先生が一言。
「はいはい!可愛いのは分かったから静かに!授業始めるよ。」
"可愛い"?可愛いから僕は鼓動が早くなっているのかな。君を見て?それとも、ちなっちゃん?その謎は今の僕には解けず、空を眺め気を紛らわしていた。空は綺麗な水色で吸い込まれそうなくらい、大きな雲が浮かんでいた。いっそ吸い込まれたら、この謎が解けるのではないのかな。でも、気づいてしまいたくない自分が居た。授業が始まっても僕はあまり集中できず、ちなっちゃんと君を見ては慌てて目を逸らし黒板に書いてある文字をノートにうつすと繰り返していた。ちなっちゃんとは何回か目があっていたがその時の事は、覚えていない。
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