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昼休みを告げるチャイムが鳴り、山崎が手を止め、薄切台の刃を仕舞う。 「それ1個置いたら、休憩にしよ、蓋して置いて。」 そう言って流しで手を洗いに行った。 午前中、最後の1個を慎重に扱い終わると、水槽にそっと蓋をして、ようやく緊張から解放された。 「はー。」 ほっ、とした溜息を深く吐き、振り返ると、ちゃんと蓋をしたか確認したかったのか、すぐ後ろに山崎が戻ってきていた。 「わっ。」 手を洗うとお昼ごはんを食べに居室へ行ったと思っていたから、驚いた拍子に息を吸い込むと、目があったのにも関わらず軽く沈黙が続いた。 薄切室で他にも作業している人はたくさんいたのに、みんな一斉に流しで手を洗うと、ワイワイ話し声をあげながら部屋から出て行くから、残ったのは二人きりになった。 「溜息するほど、そんなに疲れたか?」 ふっと笑って、沈黙を断ったのは山崎。 でも、やっぱりいつもと違って怖くない、むしろ優しい。 だから、聞けてしまった。 「なんで…なんで、さっきの怒らないんですか?」
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