565人が本棚に入れています
本棚に追加
「瑞季、本当に高校ではバスケやんないの？」
唐突に投げられた勇馬からの質問。
「うん。高校では放課後の青春をのんびりと謳歌しようと思って」
私は内心はビクついていたが、笑顔を張り付けて返した。
「教室に入る前からテンパってんのに、青春を謳歌する友達作れるの？」
「うっ…痛いところ突きますね、ダンナ……」
勇馬の的確な言葉に私はお腹をわざと押さえて苦しむフリをしながら言った。
「誰がダンナだよ」
シラケた顔をする勇馬。
勇馬とは小学一年生から六年生までクラス替えがあっても一度も離れたことの無く、唯一ずっと一緒のクラスだった。
四年生の当時の担任の先生に、『西野さん、運動神経良いのに帰宅部なんて勿体無い。部活何か入らない？』と薦められた時に当時から仲の良かった勇馬に相談したら、『バスケ部に来いよ』と言われて、帰宅部で暇を持て余していた私は四年生の途中からバスケ部に入部した。
中学でもバスケ部で一緒だったから結構長い付き合い。
だから高校でもまた一緒にプレイ出来ると思ってたんだろうな。
ごめんね。
でも私はもうやりたくない。
私がやりたくない理由を知ったらきっと彼を傷付けてしまうから、私だけが我慢して一生黙っておこうって心に決めている。
最初のコメントを投稿しよう！