部活紹介

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 パンっ!  近くの壁を叩くような音を聞き、すぐさま窓から離れる。 「くそったれ」  吐き捨てて、左の窓の下を低い姿勢で駆ける。相手もそれを察したのか、無暗に窓の外から放つような真似はしない。けれど、それだけでは済まさない。  前触れもなく、校内放送が流れる。 “目標二の校舎二階、東に向けて移動中”  その放送を聞いて、戻るべきなのか逡巡。考えを振り払って、全力で駆ける。その瞬間を見計らったように、開いている窓から銃弾が牽制として注ぎ込まれる。  どうにか窓のない場所に辿り着く。すると銃弾が止む。  一号館の屋上からの狙撃。三号館に逃げ込めば同じように狙撃と同時に逃げ場を失う。一号館に逃げ込めば外部からの狙撃は逃れるが、逃げ場を二号館への退路を断たれる。それどころか狙撃した人と他の人から上下で挟み撃ちにされかねない。校舎以外に逃げ込むことは論外。広い場所に行けば屋上からの狙撃から逃れる手段はない。それ以外の場所は地形や構造が分からない以上、迂闊に行けば逃げ場を失いかねない。隠れようと考えても状況に対応出来る空間がない。 「結局このまま色々と動くのが最適か」  校舎は三つある。今は一号館と三号館に挟まれた二号館にいる。此処ならば色々と動くことが可能であり、ある程度の予想外が起きたとしても対応出来る。  とりあえず今ところ確認できたのは四人と多分一人。狙撃手一人と校舎のどこかにいる三人と放送を流している一人。多分三人は逃げてきた体育館に一番近い一号館西側にいるはず。来るとしたら二号館西側か、回り込んで南からくる可能性だってある。これは無理して一号館に行かずして三号館に行くしかない。  けれど相手の数は五人と聞いていたが、それが正しいかなんてわからない。  西側から足音が聞こえ、直ぐに動く。銃弾が降り注ぐが空いている窓からしか飛ぶ事がない為、相手が狙えそうな場所さえ避ければ迂闊に当たることはない。階段のある個所に飛び込み狙撃手の視界から消す。後は階を上がるか、下がるか、他の校舎に移るかだ。 「見付けたぞ! 新入生!」  凛とした声にハッとして、階段の上を見上げる。
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