アリとキリギリス、それぞれの想い

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『アリさん、助けておくれよ~』 『嫌だね。キミは夏には歌っていたんだから、冬には踊ったらどうだい?』 『そんな~』 *** 「こうして、夏に働かなかったキリギリスは、食べ物を見つけることができずに死んでしまいましたとさ」 おしまいおしまい、と本を閉じると、周囲から控えめな拍手が起きる。 本をトートバッグにしまうと、いつも読み聞かせを最前列で熱心に聴いている梅香(うめか)という少女が、テトテトと葵(あおい)に近づいてきた。
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