前編

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シンディは真由の入れたロイヤルミルクティーをゆっくりと飲むと、穏やかに微笑んで、向かいに座る真由を見つめた。 「おいしいわ」 「ありがとうございます」 真由も微笑してそう答えると、シンディはカップをテーブルに置いて、再び真由を見つめた。 「私は…真由の実力は初めて会った時から分かってたから、さほど心配していないのよ。予想以上に、あなたは力を発揮して、まだまだ伸びると思うわ。だけどデヴィは…まだ力を出せていないと思う。思いきり演奏すれば、誰にも負けない魅力があると思うのにね。私もピアノにこだわらずもっとそのことに早く気付いていれば、もっと違う練習も出来たし、鍛えたいこともあったけれど…。それは、私の最大のミスね。でも、今のデヴィには、バイオリンより大切なことがあって、何よりそれを優先させてしまうのよ」
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