前編

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少年の名は、デヴィッド・オルガー。 もうすぐ15歳になる。まだ駆け出しのバイオリニストだ。イギリスジュニアコンクールでは、バイオリン部門で優勝した。まだまだ伸び代があり、今若手の中で一番注目を浴びている。 そのコンクールの時、デヴィッドはステージで汗をきらきらと輝かせ、最前列に座る真由を見て、にっこりと笑ってバイオリンを奏でていた。 その瞬間、真由は気がついた。 もう、私だけのデヴィッドじゃない。もう私を守ってくれなくていいよ。守ってくれる必要なんか、ないの。あなたは私の手を取らなくても、一人で歩いていける……。あなたはあなたの、進むべき道がある。だから、私はデヴィッドから離れなくちゃいけないんだ。 そう思うと、真由は涙が止まらなかった。 永遠の別れでもないのに。 子供だったデヴィッドが、成長しただけ。 それでも私の中では、あなたは永遠の少年。 いつまでも変わらず、そのままでいて………。
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