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フランス、パリ。
笠原真由の、フランス公演のピアノリサイタルが行われていた。連日満員で、大成功。真由は、フランスとイギリスですっかり名を上げた有名ピアニストになった。ピアノコンクールでは金賞を受賞し、テレビにゲスト出演することもあった。真由は、過去の事件のことに触れられることを恐れて、メディアへの出演は出来るだけ避けていた。ベルモンドの擁護もあって、真由のプライバシーは秘密厳守となっているが、真由はあまり表立って出演しないように努めていた。
しかし、シンディ・オルガーの前座でピアノを弾いていた真由は、今ではシンディと並ぶトップピアニストだ。真由のピアノは、イギリスやフランスを超えて、いつか日本に凱旋するだろう。
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今日の公演は終わり、真由は控室で頬杖をついて、溜め息を零した。そこにドアがノックされて、真由はゆっくり振り向くと、ドアを開けて現れたのは、親友のフランス人女性エルザだった。
「真由!リサイタル成功おめでとう!!」
とにっこり笑ってエルザが言うと、真由は思わず立ち上がりエルザに駆け寄り二人は笑いながら抱き合った。
「エルザ、久しぶり!!」
すると、エルザの足元に幼い少女がいて、
「マユー!」
とにっこり笑うと、真由は少女を見て嬉しそうに笑いながら、
「メル!しゃべった!!」
と言って少女メルを抱きしめた。
エルザは結婚して、娘のメルとフランス人男性とパリ郊外で暮らしている。メルはエルザによく似た赤茶色の巻き毛を、肩の上に揺らしている。
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