後編

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「ねぇ、デヴィ。来年の春、私、日本に行こうと思うの」 「日本に?」 デヴィッドが言うと、真由は頷いた。 「春、あの頃のアベルと同じ年になるわ。そしたら、日本に帰りたいって思ってたの。一度も帰ってなかったし、そろそろ、いいかなって思って。もちろん、向こうに住むわけじゃない。私はロンドンにまた帰ってくるわ。でも、一度里帰りしたいの」 真由が微笑みながら言うと、デヴィッドは少し屈んで真由の唇を塞いだ。そして、唇が離れると、 「僕も、行くよ」 と囁くと、真由はデヴィッドを見つめた。 「先に言われた…!デヴィ。うん。一緒に行こう。私の故郷に。大切なあなたと、帰りたい…」 「お、置いてかれるかと思った」 デヴィッドは少し照れたように笑って言うと、真由はデヴィッドの腰に腕を回して抱きしめた。
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