前編

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真由がロンドンに残ると決めたときに、シンディの勧めで真由はシンディの家に同居させてもらっていた。一人で住むにはさすがに危険で、ベルモンドは最初から真由をパリに連れて行くつもりだった。が、シンディの元でピアニストになるためのレッスンやコンクールなどの状況もあるため、シンディが引き取ることにしたのだ。それは、真由の母親の聡美も、賛成だった。 そこで家政婦をしていたのが、リリィだ。 一緒に住むことになって、真由はデヴィッドに日本語を教えて、デヴィッドは復習がてら、当時デヴィッドの家で家政婦をしていたリリィに日本語を教えて、おかげですっかりリリィも日本語が話せるようになったのだ。 「シンディさん。今日も無事終わりました」 と真由は苦笑しながら言うと、電話越しにシンディの穏やかな声が聞こえて来た。 「真由なら大丈夫だと思ってたわよ。おめでとう。ご苦労様。それより……………」 シンディの、次に出た言葉に真由は驚き、やがて電話を切り茫然としていると、エルザは真由の顔を覗きこんだ。
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