前編

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エルザは後ろにいる娘の腕を引くと、リリィも頷いて、やがてみんなが去っていくと、真由は再びデヴィッドを見つめた。デヴィッドは真由を真っ直ぐ見つめながらゆっくりと真由に歩み寄り、真由はその場に立ちすくんでいた。 「パリ公演、成功おめでとう」 デヴィッドが優しい笑顔で言うと、真由は思わず身を乗り出してデヴィッドの腕を掴んだ。 「どうして?予選、どうして受けなかったの?年末のあのコンクールに出たがってたじゃない!何故……!」 と問い詰めると、デヴィッドは花束ごと真由を抱きしめた。 今では真由の身長を越して、すっかり男らしくなった胸板。デヴィッドが真由を抱きしめると、真由は涙が溢れてきた。 「じゃ、なんであんな手紙書いたの?」 デヴィッドが言うと、真由はきつく目を閉じた。 「無理だよ、今更。君から離れるなんて、できないよ。真由は平気なの?僕は、いらないの?邪魔?僕が嫌いになった?」
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